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むすびサロン2020第2回【1.12/会議や営業に活きる!『オンラインファシリテーション術を学ぶ』レポート】

2021.01.20

2021年1月12日(火)、2020年度むすびサロンスキルアップ講座の第2回目
オンライン(Zoom)で開催されました。
参加者は、働く三島市在住・在勤の女性13名でした。
講師に株式会社NOKIOO取締役 小田木朝子さんをお迎えし、
「会議や営業に活きる!オンラインファシリテーション術を学ぶ」というテーマで
お話を伺いました。

浜松市のNOKIOO本社からアクセスされた小田木さん。
現在は在宅ワークが主で、2週に1度出勤しているそうです。
そんな小田木さんから、対面の会議や営業にも活かせる、オンラインでの
ファシリテーション方法について学ぶ講座がスタートしました。

教育研修事業の役員である小田木さんは、日々企業向けの研修を担当しています。
最近では「ダイバーシティ・女性活躍推進・働き方改革」などのトレンドに加え、
いかに個人が働きがいをもって仕事できるか、組織は個人と協同で事業を成長させ、
会社を発展させていけるか、という視点で人材育成に関わっているそうです。

「私は、働くことと仕事することが好きです。
人生の長い時間を多くの人が仕事に投じていると思いますが、家庭も子どもも、
自分自身も大事。
だから仕事があって人生が豊かになったと言いたいし、仕事楽しいよね!と語り合える人を
増やしていきたいです。そんな価値観を持ちながら、いろいろなことに取り組んでいます」
と小田木さん。
最近はVoicy(ボイシ―)というスマホアプリで「今日のワタシに効く両立サプリ」という
番組を担当しています。平日10分で、仕事と人生がもっと楽しくなる話を配信中とのこと。
「セミナーの受講や読書などいろんなインプットの仕方がありますが、
ながら聞きのラジオで毎日小ネタをインストールするというのも流行りの学び方ですので、
興味のある方はぜひ聞いてみてください」

【オンラインでの学びへの取り組み】
「テレワークやデジタルワークに、皆さんはどのようなイメージを持っていますか?
PCに向き合ってひたすら画面と仕事するというイメージではないでしょうか。
私はここ1年、商談や社員とのミーティング、初対面の方とのやりとりなど全てが
オンラインですが、対面と同じくらい温度感を持ったコミュニケーションができています。
オンラインを介することで、地方や育児中、介護中などいろいろな制約がなく、
自分の時間を豊かにマネジメントすることができます」

【つぶやき、ギモンはチャットへ(歓迎!)】
「皆さんは今日、どんな期待や課題、希望をもって参加しましたか?
チャットで双方向にコミュニケーションをとりながら進めていきますね」
(以下の質問にチャットで答えていただきました)

Q1. 今日のコンディション
Q2. オンラインでファシリテーションをした経験の有無
Q3. この講義に関心がある理由・学びたいこと。

「企業研修の受講者は、オンライン上の円滑な会議の進行方法だけではなく、
『相手を理解して同じ景色を見るためのコミュニケーションの取り方』に
関心を持たれる方が多いです」

◆オンライン会議あるある
「オンライン会議で難しい点や課題」を想定して、対処する考え方やテクニックを
押さえておきましょう。
未経験の方は、知識として最初にインプットしておくことは非常に有効です。

〈主催者として難しい点・課題〉
・意見を言う人と言えない人が出てきてしまう
・思い描く活発な会議ができない
・反応が見えなくてやりにくい(マスクをしていると特に)
・操作をスムーズにできる人とできない人がいる

〈参加者として難しい点・課題〉
・発言しにくい
・沈黙がつらい
・いきなり意見を求められると焦る

1.オンライン・ファシリテーションとは
「オンラインでの会議において、意義のある時間を創り出すことができる役割」
同じ時間に人が集まる“場”を有意義で楽しい時間にできる人で、
その人に必要な技術が「オンライン・ファシリテーション」です。

【会議ファシリテーターの心得】
会議にはまず「心もち」が大事です。
会議のファシリテーションをどのように捉えておくか、定義ができているかできていないか
では実施される技術が全然違ってきます。

❶会議は、イベントではなく、プロセスである。
参加者にどのような行動を促したいのか、自分が何を達成したいのか、
ゴールや目的を描きます。

❷会議ファシリテーターは、翻訳者である。
「言葉として伝わる」ことと「本当のニュアンスがきちんと理解されること」は別モノです。
意味をきちんと共有して伝えられるのが、翻訳者であり、ファシリテーターです。

❸会議により、参加者の景色合わせを達成しよう。
同じ景色が見えると、なかったものが生み出されたり、主体的な行動につながったり
します。気づき、腹落ちを経て相互の信頼が深まります。信頼が深まると考えが変わり、
活発なディスカッションができ、次の行動やアクションが自発的に促される現象が
巻き起こっていきます。
「情報伝達」と「同じ景色が見えること」は別と理解することがポイントです。

2.会議を設計する(会議の成否を分ける事前準備)
会議の事前設計はとても大事です。
準備の内容が会議の成否を分けるといっても過言ではありません。
事前準備が8割以上!

【「5つの要素」で会議を設計】
会議をマネジメントする事前設計の要素は5つ。それぞれをきちんと書き出して
言葉にできているかいないかで会議の成果が変わってきます。

❶目的(何のために、何を達成)情報伝達であれば、どこに至りたいのか ★一番大事!

❷材料「インプット」(情報、知識、前提条件、ツール等)
どんな情報が相手と共有されていればいいのか、どんなツールを使うのか

❸成果物「アウトプット」(完了状態、達成状態、期限等)
どんなものにも材料があって、そこから生み出される。何が決まればいい?
どこまで達成すれば?

❹関係者(適切な参加者、期待役割)呼ぶべき人、いるべき人はだれか

❺効率(所要時間、コスト、開催方式)その会議をどのくらい時間をかけてやるか

ポイント❶ 目的と成果物の設計
5つの要素の中で、一番大切なのは(1)目的と(2)成果物をセットできちんと設計
しておくことですが、曖昧になってしまうことがよくあります。
目的や成果物が明確な会議をしましょう。
成果物が具体的かつ明確で、達成できたかどうかを測れる状態になることがポイントです。
・目的が曖昧な例「今日の会議は、来期予算について話し合います」
・目的が明確な例「今日の会議の目的は、自部署の来期の予算案を決めることです」
・成果物(ゴールイメージ)の状態
「3つの予算案(A案B案C案)について、それぞれメリットとデメリットが言語化され、
かつ推奨案が1つ選定されている状態」

ポイント❷ 期待役割の設計
参加者の期待役割を明確にして、事前に相手と共有しておきましょう。
発言の準備をすることができます。これがないと目的達成は難しく、
参加者のやる気が失われてしまいます。事前に課題をもらっておくと、
それを踏まえて当日ファシリテーションすることができます。

【会議準備には言語化が大切】
目的と到達点を、きちんと言葉で表現しておくことが大事です。
対面の会議も同様ですが、オンラインでは重要度が上がります。
リアルで場を共有する際には、空気が伝えてくれる場合がありますが、オンラインでは
一切ありません。言語化の有無が生産性を左右するようになります。

【5つの要素を明確にしない会議の弊害】
準備が不足した会議には、弊害が起きます。
そのひとつが「コミュニケーションコスト増大」。後で再確認が必要になったり、
フォローしたりするコストが増大します。また「何がしたかったのか?」という
もやもやはお互いの信頼感やモチベーションの低下につながるので、
きちんと準備して、気持ちの良い、きちんと目的が達成される会議をしましょう。

3.会議を進行する(ファシリテーションの基本動作)

【ファシリテーターの基本姿勢】
❶笑顔&うなずき
どのような進行であれば発言がしやすいかを、参加者の立場になって考えてみましょう。
ファシリテーターが醸し出す雰囲気やリアクションはとても大事です。オンラインは、
リアルほどはっきり表情が見せません。笑顔は2倍でようやく伝わります。
うなずきは、サイドの髪の毛が揺れるぐらい大げさにふります。

❷リアクションを促す
参加者にリアクションをしていいと伝えておきましょう。
相手のオンライン環境が分からない場合は、聞こえ具合を積極的に確認して、
リアクションの取り方を相手と決めておくことが大事です。

❸ゆっくりハキハキ
ワンセンテンスを短く区切って言い切る、活舌を意識して話す、
大きめの声ではっきりと伝える、など対面の時以上に心がけましょう。

❹目配せ、気配せ
「あなたの参加が嬉しい」と相手に伝えるには、視線を送るのが大事。
気配りも忘れずに。「聞こえていますか?」「ついてこれていますか?」
「困ったら声をかけてください」これらの声かけが安心感につながります。

【理想的な会議の流れ】
主催する会議をイメージしながら、スタートからゴールまで確認しましょう。

★オープニング
議題とタイムテーブルに沿って、目的とゴールに向かい、それぞれに役割を担った
メンバーで会議をするということを、主催者と参加者が合意する場です。

★グランド・ルール共有
参加者が不安なく積極的に参加するために、進行方法と役割分担、発言のタイミングや
方法をきちんと共有しておきます。

★チェック・イン
時間的な余裕があれば、ウォーミングアップで発言しやすい空気をつくりましょう。
話しやすく、時間のかからないテーマで話し、この後も発言していいという合意形成を
しておきます。人数が多いときはチャットを使うのもひとつのアイディアです。

★現在地と議論の可視化
オンラインでは、参加者が流れをつかみづらく“迷子”になってしまいやすいです。
今どのあたりを話しているかを参加者が把握できるように、画面共有などを活用して
進めることが大切です。パワーポイントの編集モード画面をあえて出しておくと、
画面を追えて議事メモも活用できます。

★“間”を入れる
会議を活性させ、もやもやと疑問を拾い上げたいときは、“間”の取り方に工夫をします。
一度にたくさんの説明をしません。参加者の理解度合いを確認しながら進めます。

★タイム・キーピング
時間内により多くの意見を出すため「シンキング・タイム」を活用します。
❶意見を求められて、誰もがパッと即答できるわけではないので、2~3分ほど
考えをまとめる時間を設けます。
❷発表の際は、多くの発言を促すため、発言者1人あたりの持ち時間を提示します。
❸2~3人の小グループで意見を共有すると、幅広い意見を吸い上げやすいです。

★問いかけ
質問の仕方によって答えやすさが変わります。抽象的な問いかけだと意見が出せない
一方で、自分自身の具体的な経験や考え方を促されると答えやすいです。
そして、本質的で地に足のついた議論につながる意見が出やすいです。
もし自分が参加者の立場だったら、どのような聞き方をされると答えやすいかを発想する
ことで、効果的な問いかけフレーズのバリエーションが広がっていくと思います。

★エンディング
❶決定事項と未決事項を読み上げて参加者と共有します。今後のアクションや役割分担な
ども議事から読み上げます。
❷投影した資料や書いた議事録は、会議の終了と同時に即時共有できるように仕上げます。
❸議論が活性化しすぎて想定よりもテーマに時間がかかってしまった場合、
会議終了前5~10分前に参加者と相談して延長の可否を確認しましょう。

■参加者の皆さんに、質問、感想などを一言ずつチャットへ書いていただきました。
・オンライン会議のこと、目的成果物の大切さ、会議の在り方が分かりました。
(小田木さん)飲食店などの採用面談をオンラインで実施するのが難しいという相談が
あります。今回の話は、第三者と面談をセッティングしていく場にも活用できると思います。
・会議前の5つの準備を文章化するというのが目からウロコでした。
リアル会議だと適当でも場の雰囲気で回るのだと思います。
(小田木さん)リアルだと隠れていた問題が、オンラインで顕在化するというのが
今多くの企業やチームが抱えている課題です。仰る通りだと思います。
・オンラインミーティングの流れや大切なことを教えていただきました。
(よくうなずいてくださった参加者のAさん)
(小田木さん)うなずきが最高でした!リアクションは大事です。
Aさんのおかげで私はとてもしゃべりやすかったです。
・事前準備が超重要で、リアルよりも時間がかかることは納得です。
一方で、オンラインになり移動時間が減って、会議総数は増えたはず。
すべてをやりくりするのは大変すぎるのでは?
(小田木さん)私の場合、会議・商談回数はコロナ前の2倍になっています。
朝から晩までミーティング。まず事前準備をすることで、延べ時間が増えるかどうかですが、
細かく事前準備をすると、時間は今までよりかかります。
一方で会議の所要時間そのものは、効率的に準備をすることで短くなったり、
実は不要だったことに気づき無くしたりする場合もあります。
迷走していた時間を割愛し、会議の断捨離をしていくことで本質的な会議をすることができ、
結果的に生産性が上がっていくのではないかと思います。
・組織で会議など経験がないので、会議の疑似体験できて楽しかったです!
ファシリテーターの基本姿勢は今日からライブ配信や音楽教室で実践できそうです!
機材は何をお使いですか?
(小田木さん)機材はノートPC、ツールはZoomを使うケースが多いです。
社内のコミュニケーションは「Teams」というマイクロソフトのツールを使っていています。
ZoomとTeamsの2本立てが今は多いです。
ライブや音楽教室にも活かせるという気づきは素晴らしいです。
相手とどのような時間を作っていきたいのかという目的設計は、
「5つの要素」に当てはめてオンライン・サロンやコミュニティでも設計できると思います。
いろいろ転用して、良い場を作っていってください。
・セッティングしたゴール以外の雑談から新たなアイディアが生まれることが多いですが、
雑談を活性化させるにはどうしたらよいでしょうか?
(小田木さん)今ある会議の時間でいかにして雑談から気づきやビジネスアイデア、
メンバーの課題をひろっていくとしたら、「チェック・イン」が使えると思います。
私たちの会社・チームでは、どんな会議でも最初の約5分に雑な相談をしていい時間を
設けています。それを「チェック・イン」の代わりにします。
あとは、会議の設定自体で、より時間を割くべきものは何かなどをブレストする時間を
定例のミーティングとは別で、月に1度は30分程度設けるのもいいと思います。
・私はすでに楽器のオンラインレッスンを受けています。最初は不安でしたが、
やってみると全く問題なく楽しくできています。
(小田木さん)楽しいオンラインの場をオープンに経験しておくと、今後主催してみようと
思った時に圧倒的な差になって出てくると思いますので、
ファシリテーションの技術を磨くうえで大事なことです。

■受講者の皆さんの感想一部をご紹介します
・会議の進行について、リアクション・笑顔・頷きなど、当たり前だと思っているけれど
重要なことが再確認できました。
・明日からでもビジネスに活かせる知識を教えていただくことができました。
小田木さんの、温かでエネルギッシュなファシリテーションが心地よかったです。
・これからのオンライン活動に活かせそうです。
・自分自身、オンラインミーティングの進め方をどうしようかと悩んでいた
ところだったので、かなり参考になる事をお伺いすることができました。
・チームメンバーたちとのコミュニケーションの取り方が非常に難しいです。
アイコンタクトの大切さを改めて痛感しています。
・内容が具体的で、学びが深まったし、すぐ実践できそうです。大変参考になりました。
・今までファシリテーターの役割などあまり意識せずセミナーや会議など参加していたと
思います。改めて考えることができました。今後の働き方なども考えるとすごく大事な
必要情報でした。参加できてよかったです。