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わくキャリセミナー2021 第2回【起業・副業する前に知っておきたいお金の話】レポート

2021.11.02

2021年10月6日(水)、長泉町の女性のための創業サポート全5回の「わくキャリセミナー」第2回目がオンラインで開催されました。
参加者は長泉町内にお住まい、またはお勤めの女性9名でした。

第2回目は「起業・副業する前に知っておきたいお金の話」というテーマで講師にさくら税理士法人社員税理士の平井秀明さんをお迎えし、起業・副業前に知っておきたいお金の話や確定申告時の注意点などを学びました。また、後半にはゲストとして開業されて3年目のグラフィック・WEBデザイナー 栗田舞子さんにもご登壇いただき、開業時のエピソードなどのお話を伺いました。

◇アイスブレイク
講座に入る前に、3人ほどのグループで「食欲の秋!最近美味しかったもの」について語り合いました。
・地元の柿をたくさんいただきました。
・長泉ブランドにも柿があります。(四ツ溝柿)お菓子屋さんには、四ツ溝柿スイーツも販売されています。
・栗を渋皮煮にして食べました。
・サツマイモのスイーツを作ります。
・スーパーで焼き芋を見かけると、つい買ってしまいます。
・果物をたくさん取り寄せています。

◆平井先生のお話

【平井秀明先生プロフィール】
沼津市出身。講義などで税金やお金の話をする際、少しでも興味を持ってもらうためにできる限り専門用語を避け、わかりやすい言葉で説明することを心がけている。難しい相談内容でも迅速に解決策を見出す、女性起業家にとって心強い味方でもあるお金のスペシャリスト。

1.お金のはなし
人として生きていくには「お金」が必要です。
お金によって解決できることもたくさんあります。

起業したいけど、損はしたくない。それには、お金の出処を「はっきりさせておく」ことが重要です。では、起業する際に、どのようにお金を管理したらよいのでしょう。

〈ポイント1〉 事業用(仕事用)の口座を作る ※開業届が必要
通帳に記録を残すことで、初期投資額も明確になります。
何に使ったお金かわかるようにその場で通帳にメモしておきましょう。

〈ポイント2〉借入はどこからか誰から借りたのかをはっきりさせておく
借りるという意思表示をきちんとする「簡単な書類」を作成しておくことと、「事業がうまいかない可能性(リスク)」を伝えておくこと。親族から借りる時も、この2点は必要です。借りたら返すことが鉄則ですが、必ず成功するとは限りません。「損しても良い範囲」をあらかじめ自分で決めておきましょう。

〈ポイント3〉 現金を管理する
現金の管理は、生活のお金と仕事のお金が一緒になってしまいがちで、通帳管理よりも難しいです。生活用と仕事用、別々の財布を使って管理しましょう。仕事用の財布には、定額を毎月決めた日に預金から引き出して入金すると、管理しやすいです。レシートがもらえない場合(交通費や自販機など)は、メモしておくようにします。

まとめ 大切なのは、「他人が見て分かること」
分かりやすい帳簿をつけ、集計したものの結果を見るようにしましょう。
お金の管理は、自分の仕事を見つめ直す作業です。自分の立ち位置が分からないと、自分を見失ってしまうことになります。

2.手続きのはなし
どの程度仕事をして、どの程度収入を得られるのか。自分の置かれている環境を再確認しましょう。

専業主婦なら
「夫の扶養を外れない範囲で働きたい!」のであれば、夫の会社独自のルールを確認しておきましょう。「パート収入と所得税、住民税、社会保険の扶養家族の関係」をチェックし、課税状況について理解しておきましょう。
⇒税務上の扶養「103万円の壁」(税金の壁)
⇒社会保険の扶養「130万円の壁」(社会保険の壁)

働いている方なら
ダブルワークが可能かを会社に確認しておきましょう。マイナンバーや年末調整時に副業が発覚し、問題となる場合があります。副収入がある方向けの確定申告パンフレットもあるので活用してみてください。
趣味の延長、片手間で行っている場合は、「雑所得」として処理する方法もあります。開業届は必要ありませんが、控除も受けることはできません。

青色申告?白色申告?
⇒青色申告…65万円まで控除ができる。赤字を3年間繰り返せる。
⇒白色申告…簡単な帳簿でOK。1年ごとに税金を計算する。簡単だがメリット少なめ。
初年度から黒字は無理という人には青色がおススメ。長泉町商工会では、青色を勧めています。

■終わりに
仕事を長く続けるためには、自分に対してもお客様に対しても「誠実」でありつづけることが大切です。

◆対談

【栗田舞子さんプロフィール】
伊豆の国市出身。印刷会社・デザイン会社にてデザイナーとして勤務後、結婚を機に退職。「いつかは独立したい」と思いながら会社員を続けてきましたが、2018年2月に決意し、個人事業主として開業。現在デザイナー歴18年。

■開業時に必要だったもの
以下の3つを持って税務署へアポなしで行って、なんと開業できてしまいました!
・身分証明書(免許証など)
・マイナンバーカード(通知カードでもOK)
・印鑑

■開業後必要になったもの
パソコン、プリンタ、名刺、印鑑、メールアドレス、個人事業主用口座など…
開業は簡単ですが、必要となるものや確定申告の準備も含め、計画的に開業することをおススメします。

■開業後の講習
税務署に開業届けを出すと、無料の講習で確定申告などについて詳細な話を聞くことができます。
分からないことはプロに聞く
大事なポイントです。

■確定申告ソフトは使いやすいものを
使用感の合わないソフトはストレスになります。当初に導入したソフトを変更するのも覚え直しが大変なので、事前に自分が使いやすいソフトを無料期間で試して慎重に決めましょう。また、大手の有名な企業のソフトを使用したほうがよいです。

■その他にも…
・クレジットカードは開業前に作っておくと安心です。
・開業後は、家族の社会保険に入れないこともあります。会社独自のルールがあるため、事前に保険組合に確認しておきましょう。
開業前に購入したPCなど、購入記録を残しておいたほうがよいです。事後に開業費として処理することができることも。

■インボイス制度について
2023年10月1日からインボイス制度が導入されます。個人事業主やフリーランスにも大きな影響を与えると懸念されています。詳しくは、専門家に相談しましょう。(ページ下部にリンクあり)

■気を付けたいこと

【個人として】
名刺などに載せる個人情報は十分に注意が必要です。可能な限りプライベートと分けましょう。女性の個人経営は、自宅住所は基本的には載せないほうがいいです。
フリーで仕事をしていると、予期せぬことに巻き込まれることがあります。直感で「おかしい」と感じたら、誰かに相談しましょう。

【グループワークで】
・納期は必ず守ります。そのために、チームでの「報・連・相」は早めにします。
・難しい仕事は、いったん持ち帰りよく調べてお返事をします。
・チームメンバーへのリスペクトを忘れません。
・お客様の気持ちに寄り添うことを忘れません。チーム内で盛り上がりすぎません。

■おわりに
全て一人なので大変なことは多いですが、それ以上によいこともたくさんあります。
「自分の好きなこと」でお客様が喜んでくれることはとても幸せなことです。細く長く皆さんに見守って応援してもらえるように、「誠実」であり続けたいと思います。

最後に皆さんと一緒に記念写真を撮りました!

◇受講生のご感想

・実際にどのような手順を踏んで開業をするかなどよく分かりました。
・税金や確定申告のことなど、勉強になりました。
・実際に起業された方の体験から、詳しい内容を教えてもらうことができて良かったです。
・資金繰り、融資のことを知りたいです。
・確定申告について、個別に気軽に相談できるところを知りたいです。
・事業を細く長く続けていく秘訣を知りたいと思いました。

◇インボイス制度について(国税庁の紹介ページ)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_about.htm