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富士このみスタイル【1.27/『職場の働き方改革と外部人材の活用について学ぶ企業向けセミナー』レポート】

2021.02.10

2021 年 1 月 27 日(水)
NPO 法人ファザーリングジャパン代表理事/ファウンダーの安藤哲也さんを講師にお迎えし、
第 1 部は、
企業力UPのためのキーワード、ファザーリングジャパン、イクボスプロジェクトの事業を通して
外部人材活用について
第 2 部は、
富士市より、富士このみスタイルの趣旨と取り組みを、
ビズホープ寺田より、現在実施中「富士このみスタイル お試しワークシェア」の紹介をしました。
富士市をはじめ、県東部地区の中小企業の事業者様 20 名が参加しました。

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講師の安藤さんは三児の父で、大学卒業後出版や IT 系企業で働き、管理職に就く傍ら
父親の子育て支援、自立支援事業を展開するNPO 法人ファザーリングジャパン(FJ)を立ち上げ、
代表になりました。
現在は「人生 100 年時代の生き方改革=ライフシフト」をテーマにライフシフト・ジャパン(株)を
設立、取締役会⾧に就任。
厚生労働省イクメンプロジェクト推進チーム座⾧、内閣府・男女共同参画推進連携会議など
多岐に渡り活動しています。

【第一部 「働き方改革は、生き方改革」働き方を意識し、多様な働き方を】

◆ ファザーリングの定義とコンセプト
・父親であることを楽しもう
・地球上で父親ほど素晴らしい仕事は無い
・育児は期間限定のプロジェクト X
・育児は能力開発の機会
・アナザーワールドへの入口

「良い父親ではなく 笑ってる父親になろう!」
これまで約 2 万人の悩める父親の話を聴いてきた安藤さん。

現代の父親の多くが抱く悩み「仕事が忙しくて育児時間が取れない⇒子どもとの向き合い方が
わからない⇒子どもが生まれてから夫婦生活が悪化」に対して、
働き方と時間の使い方を見直していこうと伝えてきました。

支援策として、プレママ向けセミナーが多いのに対し、プレパパ向けのセミナーを実施。
ほかにも妻をサポートするための家事セミナー、料理教室、子どもとのコミュニケーション講座など、
父親同士が話せる場所や悩みを共有できる機会をつくってきました。

◆ 笑う父親になるためのファザーリングの極意
❶子どもができたら OS(父親ソフト)を入れ替えよう
❷家族サービスはやめる。客体から主体へ。
❸男の育児は質より量。イイトコドリ育児をやめよう。
❹子育てパパは仕事もできる。育児で備わる「聞く力・伝える力・想像する力・危機管理能力・
リカバリー能力」が仕事にもつながる。
❺パートナーシップを構築しよう。妻の人生は夫のものではない。
➏地域活動を通じて、シチズンシップを獲得しよう

◆ 父親が育児に関わるメリット
□子どもの発達・成⾧に良い
□産後のうつ予防、育児ストレス軽減
□母親のキャリア継続、収入アップ
□夫婦関係が強まる
□自活力アップ。地域に友達が増える。
□仕事の能力がアップ。アイデアが仕事に活きる
□人生が豊かになる。⇒笑っている父親になる

◆ 働く世代の「育児」と「介護」
団塊世代が 75 歳を越える 2025 年大介護時代
・生産人口は減り続ける
・専業主婦の減少、 共働きの増加
・短時間労働者の増加
・働く人の介護のリスク増加
・「ケアメン」「ケアボス」も必要に。介護=女性の仕事ではない。

これからは転職、独立、フリーランス、副業など様々な働き方が 30 ~40 年は続きます。
必要とされる限り働くことができ、定年という概念も崩れてきます。
人生 70 年時代から人生 100 年時代に。
ひとりひとりの人生のクオリティをあげていくことで経済が回っていく時代になるのです。そして
有形資産だけでなく無形資産(生産性資産、活力資産、変身資産)のバランスが必要となってきます。

《1》有形資産
マイホーム、現金、有価証券、貴金属

《2》無形資産
❶生産性資産:仕事に役立つスキルや知識、人間関係、評判など
❷活力資産:健康 、友人、家族 、愛、やる気、前向きな気持ちにさせてくれること
❸変身資産:新ステージへの移行を成功させる意志や能力
「生産性資産」と「活力資産」の貯蓄が人生を豊かにしてくれるので、ワークライフバランスが
大切です。

◆ コロナのピンチをチャンスにかえていく
コロナ時代に合わせた働き方が今求められています。
例えば
・対面→リモート&対面
・一律→自律
・曖昧な目標→ジョブ型成果主義
・同質性→多様性組織 など
ルール重視、年功序列のピラミット型の組織から、場所や制約のない社員、年下の部下、
外部人材(ワークシェアなど)の活用により、短時間で個々の持ち味や強みを効率よく活かし、
企業の生産性をあげることが可能になります。

◆ 「働き方改革」は「生き方改革」へ
❶生産性向上=自律型社員をつくる
❷健康経営=メンタルヘルス問題やハラスメントの予防
❸外様性促進=個を生かすマネジメント
現在、国を挙げて働き方改革に取り組んでいますが、上司世代と部下世代の経験や考え方、
働き方の意識のズレがまだぬぐえず「働かせ方改革」になってしまっている企業も多く見られます。
まずは❶❷❸の意識を持ち、今回のようなセミナーや研修をきっかけに社内を見直していくことから
始めることが大切です。部下や外部人材を生かし、全員を輝かせ成果を出すのが「イクボス」です。
「働きやすさと」と「働きがい」のある職場を目指して欲しいです。

◆ イクボスになるにはイクボス 10 ヶ条
https://fathering.jp/activities/iku-boss.html

◆ イクボスロールモデルなど、詳しくは公式サイトをご覧ください
https://ikuboss.com/

◆ イクボスに共通する 4 つの行動
❶部下をきちんと見る・よく知る・関わる
部下の能力や個人的な事情まで把握したうえで適材適所の人員・業務配置を実施。
信頼関係を構築する。
❷部下に適切にフィードバックしている
制約の有無にかかわらず期待を伝え、部下の能力に応じた目標管理を行うことで本人の能力と
モチベーションを高める
❸部下に権限委譲している
部下を信頼し任せることで、マネジメントや上司対応の余力を確保するとともに部下の育成に
つながる。
❹働き方のロールモデルを体現している
昭和型と異なる多様な働き方を承認する。

イクボスのいる職場は組織力が向上しリスクも軽減されます。
また、職員の「幸福度」を上げればモチベーションが上がり成果につながります。

◆ ボスには覚悟が必要
自分でやる覚悟、意志決定をする覚悟、やらないことを決める(何でも引き受けない)覚悟、
部下に任せる覚悟、ボス自身が余力を持つ(暇になる)覚悟

★イクボスによるワークライフバランスは「福利厚生」ではなく「経営戦略」である
これからは会社と個人が信頼関係で結ばれる時代になっていくからこそ、
会社が個人に何を提供できるかが問われ、支援と貢献の関係性が大切になっていきます。

「フリーランスやワークシェアなどで効率化を図り、組識を強くし、所得を伸ばしたり、
ワークライフバランスを良くしたりすることで一人ひとりが豊かな人生を送ることができる
富士市であってほしい」
との熱いお言葉を最後にいただきました。

◆ 参加者から安藤さんへの質問
Q.社内でイクメン、イクボスが生まれない。加速度を上げるにはどうしたらいいか。
A.身近な人の問題から取り組む、合理性を理解することから行うのがよいのではないかと思う。

Q.イクメン・イクボスに理解を得られない経営者へのアプローチ方法
A.経営者に影響力を持っているコンサルタントや恩志、父、娘などからのアプローチが有効では。

Q.規模の小さい会社でも育休などで人員が抜ける際の準備、欠員のフォローの仕方は
A. 中小企業の男性育休も可能。生産現場の人が総務もできる、営業マンもコールセンターができる
など、普段から様々な部署の経験を重ねることで補うことができる。

Q.一人が抜けたことで残りの仕事を分担しなければならない場合はどうしたらいいか
A.育休も介護休暇も突然やってきます。事前の計画は難しいけれど、助成金を使って代替要員を
雇うのもあり、育休の際に生ずる他の人へのしわ寄せについては、育休中の人の給料分を残業した
人に山わけするなどすれば、働く社員も納得できる。
各地のイクボスはユニークなルールをつくって工夫している。

【第二部富士このみスタイルワークシェアの事業について】
<富士市移住定住推進室山田さんより>
富士市の移住に関する 3 つの課題と富士このみスタイルの取り組み
❶女性の働き方のミスマッチ → ワークシェアの推進
❷女性の地域への溶け込み→市民・企業でサポートして不安を解消
❸魅力や発信の不足→ これから移住する方のロールモデルの輩出 PR
女性たちには働き方を支援し、企業にはダイバーシティやアイデアを取り入れる手法として
ワークシェアを紹介し、導入に向けた構想、仕組み作り、実践までを目標にしています。
今年度は、お試しワークシェア体験として富士このみスタイルイベント参加者から 10 名が、
オンラインセミナー運営補助、移住定住応援団募集チラシの作成、移住希望者向けリーフレット
などの作成を行っています。

<ビズホープ寺田より>
◆ ワークシェアとは
スキルや特性をもった仲間と仕事をシェアして働くこと。プロジェクト型とタスク型があり、
ディレクターが仲介役となって仕事を進めます。富士市ではタスク型を実践中です。
県内の事例として、島田市の「アスビプランニング」藤枝市の「藤枝くらシェア」などがあります。

<お試しワークシェアの体験者より>
初めてで不安も多かったが、わからない部分はその都度グループ内で助け合ったり、
ビズホープさんに聞いたりすることで解決してきました。良い雰囲気で活発に意見交換もでき、
やる気を持つことができています。

[受講者からの感想をご紹介します]
・これから男性の育児休暇や介護休暇が進んでいくとすれば、一時的にサポートするシステムが
重宝されてくるのではないかと感じました。その中で子育てをしながらも柔軟に働いてみたい
と言うお母さん達の希望ともマッチしやすいのかなと、安藤さんのお話を聞いて思いました。
・今までの働き方のあたりまえを取り除き、経営者、管理職、従業員が新たな発想での仕事の
取り組みをしていけば働き方改革はそう難しくなくできると思います。
・自身も子育て中ですが、従業員も子育て中がほとんどです。全員が働きやすい職場になるよう、
仕組みづくりを考えていきたいと思います。
「work smart」自分自身に一番必要な事だと感じました。
・ファザーリングジャパンやイクボス講座のお話から、女性のワークシェアにつながる活動、
企業の働き方改革へのアプローチ方法の多様性を感じました。そして、このワークシェアを通じ、
地域の企業とつな]がりたい、新しい分野に挑戦していきたい女性が、グループで企業様と
つながること、今後、企業との出会いが広がっていくことを期待したいです。

~安藤さん、貴重なお話をありがとうございました~