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富士このみスタイルワークシェア&スキルアップセミナー2020第4回【1.14/『富士市ではじめよう!ワークシェアの疑問・不安解消トーク』レポート】

2021.01.28

今年度最終回となる2021 年 1 月 14 日(木)に開催されたセミナーでは、
ワークシェアについての理解を深めました。

ワークシェアを活用されたご経験のある3名の方をパネリストとしてお迎えしました。
手作り工房 Poco a Poco 土屋 佳奈子さん
井上玩具煙火株式会社 井上 慶彦 室長
イラストレーター コイズミ チアキさん

ファシリテーターは株式会社ビズホープ代表 寺田 望が務め、
昨年12月から富士このみスタイルの「お試しワークシェア」を実践している
セミナー運営チーム3名が運営サポートに加わりました。

【前半】各地で実践されているワークシェアの現状・種類
【後半】パネリストのワークシェア体験談

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冒頭、富士市役所の山田さんから富士市移住促進の取り組みと「富士このみスタイル」の
紹介がありました。
「富士市ではワークシェアという働き方を提案することで、移住や子育てにより仕事を離れた方たちの
『短時間でもいいので働きたい』『子供と一緒に仕事ができる場所がほしい』
『キャリアを活かしたい』という希望をかなえたいと考えています。
4回のセミナーを通してワークシェアのことを身近に感じていただいたり、スキルアップにつながる
ヒントを得られたりするよう進めています。
現在、富士市ではワークシェアの仕組みを体験いただけるようお試し企画を実施しています」

本題に入る前に、3グループに分かれて自己紹介を兼ねて「今年やりたいこと・やめたいこと」
についてお話しをしました。
子育て中の方同士では「今年は夜の時間を上手に使えるようになりたい」
「子どもと一緒に部屋を綺麗に保つ」など子どもとの生活や、ほかには
「ジャンクフードの摂取量を適度にしたい」「目の前の仕事を丁寧に取り組んでいきたい」など
ライフスタイルの目標やお仕事、趣味と幅広いテーマで盛り上がりました。

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【前半】各地で実践されているワークシェアの現状・種類

〖ファシリテーター寺田 望の紹介〗
平成17年、沼津市役所水産海浜課へ入庁。ダイレクトに水産会社のお手伝いをしたい思いから、
平成21年、民間コンサルティング会社へ転職し広報を担当。
平成24年に同社を退職後「社員を広報に育ててほしい」との水産会社の方からの依頼がきっかけで、
第一子妊娠中に平成25年、ビズホープを設立。
妊娠・出産などで、自分の時間が限られている女性達の活躍の場があればという願いから、
平成26年、三島市に女性起業家のためのサポートオフィス『コトリスラボ』を開設。
(当時初の子連れOKの仕事場)
第二子妊娠中、法人化。
「女性は病気、妊娠、出産などライフプランやキャリアが一定しません。
その分、自由に身の振り方を替えられるのが特徴です」(寺田)

<「ワークシェア」ってなに?>
ワークシェアとは「スキルや特性をもった仲間と仕事をシェアして働くこと」で、
2つの型があります。

① タスク型・・・ディレクターが振り分けた業務を行う
・チラシ・パンフレット作成
・ライティング
・パッケージなどの軽作業
・データ入力・処理
・託児業務
・家事代行など

② プロジェクト型・・・ディレクターやメンバーとチームを組んで長期的に業務に携わる
・商品企画
・販路開拓
・マーケティング
・イベントの企画運営など

「プロジェクト型は長期的で責任が大きい仕事のため、タスク型から始めて経験を積み、移行する方が
多いようです」(寺田)

<スキルシェアサービスについて>
現在急速な勢いで市場が拡大しているのが、個人のスキルを販売する「スキルシェアサービス」。
イラストや占いなどライトなものから、専門の経験や知識を活かした時間単位のアドバイスをする
「スポットコンサル」など、高度な専門知識を必要とするサービスがあります。

<スキルシェアの仕事の流れ>
仕事の応募→コンペ→仮払い→納品→報酬の受取→評価→取引完了
※プロジェクト型の場合、依頼形式によって受注・発注の流れは異なる
インターネットを介して、直接会うことなく取引が成立する仕事が増えています。

<事例紹介>
1.Asubi planning(アスビプランニング)
2017年発足した島田市のクラウドソーシング
「明日備(あそび:あそびの心を忘れずに明日の行動を大切にする)」というのが名前の由来。
仕事を頼みたい人と働きたい人を地元企業へ繋げる。
ブログに載せるような写真撮影、ライティングの仕事が多い

2.藤枝くらシェア
2018年発足した藤枝市のクラウドソーシング
「暮らし+シェア=くらシェア」
ピンポイントで仕事を頼みたい企業・店舗と藤枝市民をマッチングするWEBサービス。
ディレクターが発注者にヒアリングを実施し、市民ランサー(ワーカー)が仕事を受注。
アンケート集計などのタスク型が多い。

<クラウドワークの利用時の注意点>
「ワークシェアをやってみたい!」と興味を持った方にお伝えしたい注意点です。
気持ちよく仕事をするために、クラウドワークの利用前に確認しましょう。
・あいまいな動機で応募しない
・練習と本番の仕事を分けて考える
・簡単な仕事=ラクな仕事ではない
・労力に見合わない仕事には応募しない
・報酬金額に目を奪われないように
・発注者から何かを購入する仕事はしない(商品の購入が目的の場合もある)
・やらせ投稿やSNSの「いいね!」を求める仕事は注意
・女性限定の仕事は慎重に(個人情報の収集が目的の場合もある)
・著作権侵害・盗作は厳禁
・不正入手のソフトでの作業は信用を失う など

今後富士市が本格的に実施するワークシェアでは、安心・安全で顔を会わせて信頼関係が築けるよう
丁寧に進めていきます。

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【後半】パネリストのワークシェア体験談

1.土屋 佳奈子さん
三島市のジャム・ピクルス専門の手作り工房 Poco a Pocoで、経営全般・営業・販売・広報・経理・
製造を担当。
都内の不動産情報会社で勤務後、2007年に地元へ帰郷。
医療と福祉をつなげる社会福祉士として活躍したのち、第一子妊娠中に洋菓子の講師だったお母様が
「手作り工房 Poco a Poco」を創業したのを機に現在に至ります。
「当店のスタッフは全員女性で、業務は子育て中のスタッフが無理のない時間帯に行っています。
ホテルや観光施設へ卸したり、商業施設でイベントを行ったりしています」

メディアで多く取り上げられてきたマニュキアのようなオシャレな容器のジャムを画面上で見せて
いただきました。
昨年3月に販売したピクルスは「2019年さんしん夢企業大賞 優秀賞」を見事に受賞しています。
「コロナ禍で販路が変わってきました。商品の主軸を変えるなど、トライアルしながら時代に合った
ニーズをしっかり捉えていきたい。お店に買いに行けない方でも、三島を知っていただくツールに
なってもらえたらと思います」

土屋さんのワークシェア体験談です。
「バレンタイン限定商品のPRプロジェクトをお願いしました。ひとりではできなかったけれど、
寺田さんに背中を押してもらいました。応募を勧めていただいたさんしん夢企業大賞では、
プレゼンテーションを初めて経験しました。
目標に向かって、いろいろなプロの方がアドバイスしてくれたり、視点を練ってくれたりしたことは
刺激になったし、新たな視点を発見できてよかったです」

2.井上 慶彦 室長
創業94年になる島田市の手持ち花火専門製造会社の四代目の井上室長。
井上さんの花火はその品質の高さから、国内外で高い評価を得ています。
おなじみのバースデーケーキの花火は、井上花火さんのオリジナル製品です。
火薬を取り扱う花火は男性の職人をイメージされることが多いそうですが、
手先が器用で商品の細部まで気を遣う女性が活躍していることも高く評価され、
『令和2年度静岡県男女共同参画社会づくり活動に関する知事褒賞』
『女性の活躍推進事業所の部』を受賞しています。
2020年、初の自社ブランドとなる駿河伝統花火「義助」を発売。
多数のメディアに紹介され、1000セット以上の注文が殺到し『グッドデザインしずおか2020金賞』を
受賞、『島田の逸品』にも選ばれました。


ワークシェアで制作した義助のプロモーション動画を見せていただきました。
「暗い中での撮影ではとても大変でした。花火専門の写真家の方をはじめ、
たくさんのスタッフが撮影に携わり、博物館や海岸で撮影しました」

「義助のプロジェクトを共有するため、社員と何度も話し合いをしました。花火のプロだからこその
厳しい意見もありました。数か月の試行錯誤を経て、いいものをつくりたいとこだわる社員の奮闘に
より、義助が完成しました。厳しい意見を言った社員が『プレゼントに送りたい』と購入してくれた
ときは、とても嬉しかったです。『こんな素晴らしいことはやったことがなかった』
『ホームページを見た!すごいモノができたね!』と社員から言葉をもらえて本当に良かったです」
ひとりではなく、みんなで頑張る大切さがわかる、素晴らしいエピソードを語っていただきました。

3.コイズミ チアキさん
富士市でイラストレーター、グラフィックデザイナー、漫画家と幅広く活躍中。
とても可愛いポップなイラストや漫画などを見せていただきました。本セミナーをはじめ、
富士市のリーフレットや企業広告を数多く制作しています。
「いつも見ている富士市リーフレットのイラストレーターはコイズミさんだったんですね。
お話できてとっても嬉しい!」と感激した参加者の方もいました。


コイズミさんのワークシェア体験談です。
「最初は主に寺田さんのディレクションのもと、グラフィックとイラストを手掛けていました。
その後独立しましたが、自分の仕事に専念できなくて大変でした。自分だけではなくチーム全体の
スケージュール管理、連絡のまとめ。全責任を持たないといけない。
寺田さんのありがたさがわかりました」

ワークシェアのよかった点をお話しいただきました。
「デザイナーやライター、WEBデザイナーなどプロの方と協同でベストな形を模索できるので
自信をもって仕事ができます。また、みんなでワイワイ取り組めるので、
孤独にならないのもいいですね」

現在、多くの企業から指名があり、多様な業種でアドバイスをする仕事も行っていて、
さらに経験を積んでいるようです。

<富士このみスタイル お試しワークシェア>
現在、富士市でもタスク型の「お試しワークシェア」を行っており、10名の女性が3つのチームに
分かれて活動しています。

①チラシ作成チーム
移住定住を応援する「富士市移住定住応援団」登録企業募集チラシの原稿やデザインを作成。
完成したチラシは近く印刷され、富士市の企業に配ります。

②リーフレット作成・FAQチーム
県内外に富士このみスタイルの取組をPRするため、お試しワークシェアの参加者を紹介をする
リーフレット作成。また、移住PRのWEBサイト「富士コトハジメ」のFAQに掲載する内容を考案中。

③オンラインセミナー運営チーム
富士このみスタイルの各種セミナー運営に関わるアンケートフォームやタイムテーブル作成などの
事前準備、当日のZoom進行、後日のレポート作成などの各種業務を実践中。

◆セミナー運営チームメンバーの感想
「チームで励まし合い、支え合うことがモチベーションにつながりました。
学べることもたくさんあり、今後に活かせるだろうなと思っています」
「パソコン業務は初めてでしたがレクチャーしていただきながら、無事完了できました。
自分でも成長を感じられました」
「これまでパソコンはあまり触ってきませんでしたが、サポートしていただきいろいろ学べました。
今後役に立てることがあればチャレンジしていきたいです」
セミナー運営チームは、コロナ禍で直接会うことは一度もなく、フルリモートで活動をしました。
初めての業務となるメンバーもいましたが、連絡を取り合い、お互いが支えあう形で活動を
行っています。

受講者からの感想をご紹介します。
・最近「ワークシェア」という言葉を聞く機会があり、具体的にどういう風にされているか
知りたかった。子ども、障がい者、老人が一緒にできる何かをこれから作れたらと思っているので
模索していきたいです。
・2年前の富士このみスタイルがきっかけでハンドメイドのイベントやワークショップを開催。
子育て中なので、ワークシェアはとても興味を持ちました。また参加したいです。
・私にも何かできるといいなぁ思い、探ってみたいと思いました。
協力しながらフォローしあっているので、いいなぁと思いました。
・今回、いろいろな方達のスキルをとりまとめる方がいるということを知りました。
もし、なにかやりたいことがある人に、つなげる人がいるということを伝えられたらと思いました。
「義助」のプロモーション動画を見て、写真撮影・動画制作など全てプロ級でいろいろな人が
携わって一つHPにつまっているんだなぁと思いました。

はじめての業務でも、レクチャーを受けてフォローしあいながら、和気あいあい・無理のない範囲で
実践中のお試しワークシェア。
来年度も、富士市このみスタイルでお試しワークシェアを実施する予定です。
今回参加された方、ご興味がある方ぜひ参加してみてください。
ワークシェアで女性の力を活用し、新しい視点をもつことの価値をお話をいただいた
手作り工房 Poco a Poco土屋 佳奈子さん、井上玩具煙火株式会社 井上 慶彦 室長、
イラストレーター コイズミ チアキさん、貴重なお話を本当にありがとうございました。