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富士このみスタイル2020第1回【9.30/セミナー&ワークショップ】レポート

2020.10.02

2020年9月30日(水)、2020年度のセミナー&ワークショップがスタートしました!
コロナ禍で安全に開催するため、今年度は全回オンライン(Zoom)で開催します。

第1回目は静岡市を拠点に染織や手芸の専門家として活躍する稲垣有里さんを講師にお迎えし、
稲垣さんの暮らしぶりや働き方、信念などのお話を聞いたほか、
特製キットを使って紙刺繍をつくりました。
参加者は富士市に移住してきた方を含む12名の女性たちです。

初めてのオンライン開催ということで、
オンライン会議に精通しておられるNPO法人 母力向上委員会の塩川さん、鍋島さん
フォローしていただきながら進行していきました。

また、グラフィックレコーディングを富士市在住のイラストレーター・漫画家の小泉智秋さん
描いていただきました。

稲垣さんは静岡駅の近くに染織・手芸・こども造形教室の「ユトリ・アートクラフト」を構え
「染織家」として活躍しています。
*染織家…糸を染めて布を織る仕事
*染色家…布を染める仕事

美術大学を卒業後、自分の好きな手工芸品を作って売ることを仕事にしていた稲垣さん。
しかし物を作って販売する製造の仕事だけでは生活が難しく、最初の10年くらいは
アルバイトしながらの修行期間だったそうです。
・もっと高い技術・知識が欲しい
・よりいい良い材料、珍しい素材を使ってみたい
・もっと多くに人に作品を見せたい
という思いを原動力に、2006年にはデンマークで飛び込み営業をして個展を開催するなど、
15年間は作家として活動していました。

30歳半ばの頃には着物の問屋さんで働きながらも生活が苦しく、
「このままではまずい、振り幅を変えなくては!」と思い、
37歳の時に静岡市クリエーター支援センター(CCC)に入居。
経理や経営について全く無知だったため最初はすごく苦労しましたが、
学ぶことも多かったそうです。

CCCではデザイナーやイベント企画会社、アプリ制作会社など今まで出会いのなかった
他業種の人脈ができ、つながりを深めて進めていく中でワークショップや教育系・環境系の
イベントでのお仕事が増えていきました。

その結果、1年目で売上が前年度の額を超え、2年目で製造業から教室で指導をするサービス業が
メインに。
作家として働くという考え方を捨て、「自分の力で社会のために何ができるのか?」という考え方
に変わり、経営体制を染織・手芸教室の運営にシフトしました。

 

そして2015年にオープンしたのが染織・手芸教室
「YUTORI ART&CRAFT(ユトリ・アート&クラフト)」です。

★ユトリ・アート&クラフトの特徴(以下、ユトリ)
・ガラス張りで全て見える(ABCクッキング的なイメージ)
・静岡駅から徒歩5分、地下なので雨に濡れない。
・好きなことだけできる(カリキュラムは入会時にカウンセリング)
・都合の良い時に来れる(持ち時間制)
・明朗会計。材料の持ち込みは自由、使った分だけ量り売り
・個人専用の箱を用意(重たい荷物からの解放)持って帰るのは作品だけ

<会社として大切にしていること(ビジョン)>
アート(美術)とクラフト(工芸)を通して自分の「ユトリ」を見つける場所になること
・営業時間内なら好きな時間に来れて、いつでも同じ趣味の話し相手がいる。
・今までやってきた趣味や仕事のスキルと持っている材料や道具、環境(=自分の資産)を
最大限に活かしながら、今、必要なものを作るためのカリキュラムを講師と一緒に構築、
自分にとっての「ユトリ」はどんなものかじっくり考え可能性を広げる、
生涯学習を極める染織・手芸のサロン的な教室。

<ユトリの3大ポイント>
⓵生徒さんがお客さんを勧誘・接客してくれる!
⓶異業種交流のサロン的なアトリエ
工芸関係者はもちろん、デザイナー、画家、カメラマン、マスコミ関係の方など知人友人が
立ち寄ってくれる、出会いのある場所。
⓷プロの染織家が直接指導(大学講師・令和2年度静岡県文化奨励賞受賞)
母校の女子美術大学の講師も勤めていて、アカデミックな新しい情報も入りやすく幅広い知識と
全国に広がる同業者の人脈がある。
また、海外での活動経験(デンマーク、台湾ルワンダなど)もありグローバルな視点も大切にして
いる。(ルワンダの貧困女性達にバナナ繊維を使った織りの技術研修を実施し新たな収入源の創出
及び自立支援を行う「Rwanda バナナファイバープロジェクト」など)

<教室の内容・お客様の特徴>
・体験コース(単価2,750円~11,000円)
・趣味、記念日、観光、自由研究などを目的に4歳~80代(男性1割程度)
・年間100人以上が機織りや草木染め、フェルトなどを体験。
・機織コース(月謝) 30~80代、メインは50代
・現在会員数35人(コロナ休会含む)
・こども手芸部4歳からのプライベートレッスン。
昔は祖母や母が子どもに手芸を教えるのが一般的でしたが、現代は地域がその役を担うべきでは、
と稲垣さん。
最近は子どもが描いた絵をそのままぬいぐるみにするのが好評だそうです。
伝統工芸における超⾧期的視野の後継者育成事業として実施しています。
・ひつじ部 静岡市近郊の古民家で毎月1回開催
羊を11匹飼っている稲垣さんのご友人のところで活動します。
1年を通して羊に親しみ、もの作りを素材から学びます。年1回の毛刈りには180人が集まります。

<コロナ禍のユトリ>
3、4、5月以降はマスク制作の日々でした。6月からオンライン手芸教室、無料の草木染め
動画配信、BASEでの材料キットの販売を始め「おうち時間」を楽しんでいただける環境を
作っているそうです。
その他、外部仕事も積極的に行っています。
・女子美術大学(講師。専門は草木染め)
・静岡県文化芸術大学(講師。10月に工芸展)
・外部委託(企業研修や生涯学習センター・11/1駿府城公園内坤櫓でワークショップ開催)
・「はじめての草木染め」YouTubeにて無料動画を配信中。リアル講座も人気!

<ユトリのこれから>
リアルとオンラインを融合した手芸部を部活に
スポーツにクラブチームがあるように、手芸も民間でチームとして活動していいのではと発案。
染織や手芸に親しむことを通して、子どもが自分たちで考え、教え合いながら成⾧していける場を
作りたい。対象が通える範囲の小中高校生の「地元密着型」と山間部や海外からでも参加可能な
「オンライン型」が融合した部活として地域委嘱される。
継続年数の⾧い生徒さんがセミプロに
着付け師和裁師、美術や家庭科の教師など専門職を退職した人の活躍の場に
編み物や裁縫が苦手な人でも手軽にできる紙刺繍の普及

講義中にZoomのチャットで受講者の皆さんから様々なコメントをいただきました。
・手芸が小さいころから好きなので、とても素敵な活動だと思いました!
・ルワンダのお話も気になります^ω^
・子供も機織りできるならやらせてみたいです
・ひつじ部、楽しそうですね!
・黄色(草木染め)もいいけど青い染めがあればやりたいです!
・草木染め、お家でできるならやってみたいです!手芸部、親子で行けたらいいなと思います。

◎ワークショップ

~手軽にできる紙刺繍「ハートの紙刺繍(ランダム)」~
●方法
① プッシュピンで黒い紙に描かれたハートの輪郭に穴を開ける
② 針に糸を通す
③ 糸を裏(ハートが描いてある方)にセロハンテープでとめる
④ 糸を通して表に刺す
⑤ バランスを見て刺していく
⑥ 少しずつ刺す場所が減ってくるのでハートの面を埋めるように意識する
⑦ 穴が全部通ったら完成。周りを縫ってもかわいい

●ポイント
・先に紙に穴を開けておく
・糸の引き加減に注意する
・同じ穴に通すのは2度までがベター
・色のバランスを見ながらまんべんなく

 

チクチク刺繍をしている間、稲垣先生がいろいろなデザインの紙刺繍を紹介してくださいました。
特に反応が高かったのが、スヌーピーなどのキャラクターを刺繍したノートの表紙です。
「自分の好きなキャラクターを写して刺繍するのもいいですよ!」とのアドバイスに
受講生の皆さんは膝を打っていました。

 

 

先生のお話を聞いたり質問したりしながら作業を進め、素敵なハートの紙刺繍が完成しました!
全員同じ素材を使っていますが、どの作品も個性があふれ魅力的でした。

 

最後に、稲垣さんからこれまでのライフスタイルを象徴するようなメッセージをいただきました。
「どこにいようが自分は自分。今自分がいる場所を大切にできることが大事だと思う」

稲垣さんは静岡だけでなく海外にも及ぶ幅広いフィールドで、4歳から84歳までの幅広い
年齢層の生徒さんおひとりおひとりを大切にして、日々活動しています。
稲垣さんのこれからの活動に、ぜひ注目していただきたいです。

***
受講者の皆さんからのコメントや感想を一部ご紹介します。

・今回は優しいハートの刺繍でしたが、一方海外で活動されたり、地域の子供たちに教えたりなど、
先生のふり幅の広さに驚きました。
・裁縫が大の苦手で、幼稚園グッズもお店にお願いして作ってもらったくらいでしたが、
今回完成してとても嬉しかったです。子どもたちと一緒にやってみたいと思いました。
・子どもと一緒に参加してあやしながらでしたが、すごく楽しかったです。こういったものを
インスタなどで見ていて難しそうだなと思っていましたが、完成でき、達成感がありました。
・小さい頃から裁縫が好きで、自分で手芸を教えていたこともありましたが、子育てに追われて
いて中断していました。下の子が幼稚園に入ったので、何か始めたいと思っています。
ただ、会計などのことがわからず、ぜひ教えていただきたいと思いました
(富士このみスタイルスキルアップセミナー第3回講座で税理士の先生が登壇しますので、
このようなお悩みのある方はぜひお申し込みください)
・私は子育ても落ち着いて自分の時間もある中で、こういった新しいことに挑戦しようと思って
参加しました。Zoomにも初めて挑戦し、刺繍も完成してよかったです。
・紙刺繍をぜひ子供とやってみたいと思いました。

ユトリ・アート&クラフト