わくキャリセミナー2019 第3回【10.2/やりたいことを叶えるために 知っておきたい、お金のはなし】レポート
2019.10.07
2019年10月2日(水)
第3回わくキャリセミナーを開催しました。
やりたいことを叶えるために 知っておきたい、お金のはなし
と題し、さくら税理士法人所属税理士でコトリスラボ創業アドバイザーの高林 ゆかさんをお迎えし
起業、復職、就職、副業時に必要なお金の知識を学びました。
【高林ゆかさん プロフィール】
愛知県岡崎市生まれ。結婚を機に浜松市へ。
第1子妊娠時に税理士登録、現在税理士として17年目。
平成27年4月よりコトリスラボにて女性の起業に取り組む。
気軽に相談できて、一緒に考え夢に向かう「伴走者」の視点を大切にしている。
高校生と中学生の一男一女の母。
■第1部 お金のはなし
◎起業するにはお金が必要
起業したいけれど、損はしたくない
と悩む前にまず、
お金の出処をはっきりさせておく
〖ポイント1〗
事業用の口座を作る
自分のお金を元に起業する場合
仕事用の通帳を作り、個人用の通帳からお金を引っ越す
・通帳を通すことで、記録が残る
・初期投資の額がわかる
✓何に使ったお金か忘れないように、
振込/引出の内容を通帳にメモしておく。
〖ポイント2〗
借入は借主をはっきりさせておく
家族などから応援してもらう場合
借りるという意思表示をきちんとする
「○○に必要だから、○○円借ります。
〇年○月までに返します」
・簡単な書類に内容をまとめる
・計画通り利益が出ない場合も伝えておく
〖ポイント3〗
損しても良い範囲をあらかじめ決めておく
「借りたら返す」は鉄則ですが、
必ず成功することばかりではないのが仕事。
「あと少し…」と赤字を続けるのではなく、
限度を最初からしっかり決めることが必要。
〖ポイント4〗
生活用と仕事用、別々の財布を使って管理する
「記録がないので経費にできない」とならないように…
・生活用と仕事用のものを一緒に買ってしまった場合
→レシートごとに仕事の分だけマーカーを引くなどして区別して集計する
・レシートがもらえない場合
→メモに日付、支払先、金額などの内容を書き留める
〖ポイント5〗
お金の動きは、他人が見てもわかるようにする
・自分がわかっているだけでは証拠にならない
・現金の動きは記録をとらないと、自分以外の誰にもわからない
・家計簿程度でも、記録や領収書・請求書を残す
〖ステップアップ〗
集計したものの結果を見る
◎集計することで、儲かっているか・いないのかを把握できる。
個人事業の場合、本人への給与は経費にならない。
・儲かったお金から自分の人件費は出せる?
・仕事をした分、自分に返ってくる仕組みができている?
お金の管理とは
自分の仕事を見つめ直す大切な作業です。
〈スナップ写真〉前回とメンバーの異なるグループで交流を深める受講生の皆さん
■第2部 手続きのはなし
専業主婦の方、就業中の方と
置かれている環境は人それぞれです。
どの程度仕事をするのか?
どの程度収入を得られるのか?
確定申告はどうするのか?
などシミレーションをして自分の状況を確認しましょう。
●専業主婦の場合
《夫の扶養内で働きたい場合に知っておくべき2つの壁》
①103万の壁(収入が103万超になる場合に現れる、税金の壁)
妻:
・所得税が課税される
・夫の会社の家族手当がなくなる場合もある
夫:
配偶者控除はなくなり、
収入に応じた段階的な控除「配偶者特別控除」になる
②130万の壁(収入が130万超になる場合に現れる、社会保険の壁)
妻:
自分で国民健康保険と国民年金を納める
夫:
配偶者特別控除は201万でなくなる
<=税金は増えて、手取り給料は減る>
図:パートの収入と所得税、住民税、社会保険、夫の社会保険の扶養家族適用の関係
●就業中の方の場合
副業がOKかどうか確認をとる
・マイナンバーで副業が発覚し、会社からペナルティを受けることがある
・自分の夢ややってみたいことを会社にも理解してもらう
●確定申告の種類
①初年度から黒字が難しい人におすすめ
青色申告
・65万まで控除ができる(決まりに沿った帳面付けが必要)
・赤字を3年間繰り越すことができる
②簡単な帳簿で良い人におすすめ
白色申告
・簡単な帳簿でOK
・65万円の控除や赤字の繰り越しはなく、
1年ごとに税金を計算する
◎悩んだときは、数字の専門家、税理士を訪ねてみましょう
■起業後に大切なこと
情熱を忘れないこと
「何のためにこの仕事を選んだのか」
最初の気持ちを忘れない限り、どんな困難にも立ち向かえます。
〈仕事〉とは
受けた以上完成しなければできたことにならない。
責任を取れるかが重要
〈夢を叶えられる人〉とは
自己満足にならない、周りに迷惑をかけないように、
常に考えて行動ができる人
高林さんは
「情熱を忘れずに自分の可能性を信じて
チャレンジしていくことが夢の実現につながります」
と最後に熱いエールをくださいました。
セミナーの後半は、
2018年3月に個人事業主として起業した栗田 舞子さんと
高林さんとの対談を行いました。
【栗田舞子さん プロフィール】
伊豆の国市生まれ。デザイナーとして就職してから、
いつか独立したいと思いながら15年ほど会社員を続ける。
数年前にコトリスラボを知ったことで、
夢の実現を考えるようになり、2017年に退職。2018年に結婚。
会社員として転職するか起業するか模索した後、
2018年3月に独立を決意し、個人事業主に。
◎開業時、税務署に持参したもの
・身分証明書(免許証など)
・マイナンバーカード(通知カードでもOK)
・印鑑
◎開業後、必要になったもの(栗田さんの場合)
パソコン、プリンタ、名刺、印鑑、メールアドレス、
個人事業主用口座、写真付きマイナンバーカード、
確定申告用ソフト、見積・請求書用ソフト、クレジットカードなど
その他:
パソコンデスク、パソコン用椅子、ホームページ、実印・印鑑証明、
封筒、切手、プリント用紙、書類送付用ハンコなどの事務用品
*職種によって異なります。参考になさってください。
◎開業後に受けた税務署の講習
栗田さんは「何もわからないんです」と言いながらも、
税務署の職員さんの丁寧な対応を受けて無事に開業届を出します。
その後は郵送で案内が届く
無料の講習を積極的に受講しました。
わからないことは税務署の職員さんに直接質問して解決してきました。
税務署では白色の確定申告書類の書き方や
減価償却の計算方法などの資料ももらえます。
「ぜひ積極的に税務署を活用してください」と
栗田さんにアドバイスをいただきました。
その後は栗田さんがお金の管理グラフを起業前、起業後とわけて
ホワイトボードに描いてくださいました。
起業前は衣食住がそれぞれ1/4で、
残りはその他と車が少しという割合でした。
起業後は、衣食住それぞれに仕事の服や会食、
自宅での仕事場、移動手段の車と駐車場、
そして税金という新しい項目が入りました。
受講者の皆さんにもこのグラフを印刷した紙をお配りし、
自宅でのシミレーションをおすすめしました。
セミナー終了後は高林さんや栗田さん、
長泉町商工会の芹澤さんや遠藤さんに
積極的に質問する姿が多く見られました。
わからないことは税理士や税務署に聞くことをためらわずに、
一歩一歩、夢の実現に向かって進んでいただければと願っています。
* * *
受講生の方からのアンケートを一部ご紹介します。
・ぐっと具体的にビジネスをはじめる際のステップが知れてよかった
・経費に対する意識がなかったので、まだまだ学ぶことがたくさんあると思いました。
・難しいトピックスをわかりやすく教えていただきありがとうございました。
・生活と仕事のお金を分けるお話など、こういう風に考えて入っていけばいいのかと、
わかりやすくハッとすることが多くありました。
・敷居が高いと思っていましたが、相談してやっていけると知れてよかったです。
* * *
次回のわくキャリセミナーは10月16日(水)。
有限会社サンディオス代表取締役の津賀 由布子さんを講師としてお迎えし、
ビジョンや内容を明確に「ビジネスプラン」を書いてみよう
と題して10月30日(水)との2回連続講座を開催します。
事業内容を深く理解するため、
また、協力者や支援期間に説明する際に文書「ビジネスプラン」。
まだ起業が具体化していない方でも、
思考を整理するうえで今後に役立ちます。
10月30日の最終回には、特製のケータリングランチを囲んで
受講者同士の交流を深めます。
若干定員に空きがありますので、
興味を持った方はぜひ長泉町商工会まで
お電話にてお問い合わせ・お申し込みください。
TEL.055-986-0685
(平日8:30~17:15)