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シーンに合わせて柔軟に「私」を大切に働く方法 レポート

2021.10.25

2021年10月14日、
「富士このみスタイル オンラインで学ぶ・つながる ワークシェア&スキルアップセミナー」第2回目を開催しました。
講師は、札幌市男女共同参画センター 北海道女性起業家支援ネットワークの菅原亜都子さん
チームメンバーとしての自分、個として仕事をする自分など、働くうえで大切にしたい自分の軸やあり方を追求し、心地よく働く方法を考えました。

 
まずは菅原さんのプロフィール紹介とともに、今回のテーマに向けての導入の話がありました。

「札幌生まれ、札幌育ちで、札幌の大学で学んでいたときに『ジェンダー』という言葉を知り、これはずっとかかわっていきたいテーマだなと思い、今の財団に入所し、札幌市男女共同参画センターに18年勤務しています。
私が2003年に大学を卒業した頃と今では、『男女共同参画』や女性を取り巻く環境はだいぶ違っています。
当時は『男女共同参画』や『ジェンダー平等』は女性の人権・福祉の問題だったのですが、2012年ころからは世の中の状況が少しずつ変わり、経済の問題、社会の問題になってきたと肌で感じています。しかも、それは経済規模を大きくするための議論ではなく、地域や国が持続していくために女性の力が必要だという考え方です。
私は様々な仕事をしていますが、『ジェンダー平等』としては女性の管理職、取締役を増やしていく活動をしていたり、一方DVで悩んでいる方や、コロナで大きな影響を受けている女性たちの相談に乗ったりしています。『ガラスの天井』と『べたつく床』と表現していますが、その両方を支援しています。
そんな中で『女性の起業支援』はとても大事な仕事です。
組織の中で女性を育てていくときには見えない『ガラスの天井』があり、それを苦労しながら突破していくのですが、女性の起業支援はフラットな関係性の中で女性ならではの視点を生かして地域で新しい仕事を作っていくことができます。こういったパワーのある女性たちと接することにとてもやりがいを感じています。起業というとハードルが高く感じるかもしれませんが、きっと今日ご参加のみなさんはそういった新しい働き方を地域で作っていく担い手になると思います。
3つ目の私の顔ですが、組織の中でマネジメントする立場として、若いスタッフを育てることを模索しています。そんな中で成長を感じたり、同じように悩んでいる人たちと勉強会をしたりといった取り組みをしています」

まずは、今回のテーマ「自分を大切にして働く」が自分にとってどういう状態か、チャット欄に書き込んでもらいました。

【参加者の方のコメント(一部)】
・仕事のオンオフができ、仕事も家庭も大切に出来る
・家族との時間を大切にする
・自分の技術を生かせるような仕事
・やりがいがある仕事をしたい。達成感を得たい
・いざというときに逃げられる環境
・会社に振り回されすぎない
「今日ご参加のみなさんが、これまで働いてきた経験がある上での回答だということや、時代の変化を感じます。このように具体的なイメージをもってもらったので、今回はこれを考えながら出口を具体的に考えていただきたいと思っています」

Theme1 時代の変化を知る
「20年前と比べて、『社会』『ワーク』『ライフ』に大きな変化が起きています。
これからの20年はどうなるか予測は付きにくいですが、時代の変化、テクノロジーの変化はますます早くなっていきます。それにともなって生活、意識、制度が変わっていきます」

◆商品やサービスが5000万人に届くのに何年かかる?
車は62年、テレビは22年、携帯は12年間、YouTubeは4年で世界中に広まりました。
ポケモンGOが5000万人に使われるようになったのは、なんと19日
現代は広がるのも早いし、とって代わられるのも早い。かなり変化のスピードが速くなっています。
これからは一つの専門性や働き方で続けていくのは難しくなっていくのではないでしょうか。そのため、常に社会の変化を感じて、時にはお客様のニーズを先取りしていく必要があります。そんな時代で私たちは生きて仕事をしていくイメージをしてほしいと思います。

◆現場改善のPDCAと、変化に強いOODA(ウーダーモデル)
改善にはPDCAとよく言われますが、社会の変化のスピードが速く、計画予測不可能、計画が陳腐化するので今はOODAが話題です。
OODAモデルは、観察(Observe)→判断する(Orient)→意思決定する(Decide)→行動(Act)という流れで、その時その時で状況を見ながらものごとを判断して行動していくモデルです。
どちらが良いではなく、どちらが適しているかを考えながらやっていくのがよいと思います。

◆20年後の地域の景色はどうなっている? ~富士市の人口ピラミッドを参考に考える~
2040年には90代の女性が多く、次に55~69歳となっています。
これらの女性が地域に居場所や収入源をもっていないと、地域の活力が衰退していってしまうのではないでしょうか。
そういう意味でも、皆さんが地域でもつながりをもち、先ほどチャット欄に書いてもらった「自分を大切にする働き方」をイメージしていってほしいです。
20年後の未来の話の次は、一人ひとりの生き方がどう変わっていくのかという話です。

Theme2 これからの個人の生き方
◆ライフサイクルの変化…書籍『ライフシフト』より
私たちの親世代の女性のライフサイクルは男性に比べると多種多様でしたが、それが少しずつ変わってきています。
これからのライフサイクルは、20歳ころまで「教育」は変わりませんが、そこから先は「マルチステージ」があります。
学校だけではなく多様な学びを得られるようになり、就職後も一社で働きっぱなしになるのが難しくなります。
一つのスキルで生き続けていくのは時代の変化スピードが速すぎるため、難しくなります。そのため、新しいことを学び続けること、複業も広まっていくでしょう。パートナーとともに稼ぎ合い、学び合うのがリスクヘッジとなります。
60代で仕事を辞める必要はなく、目指していくのは定年のない働き方で、仕事を続けたい時まで続けていくことです。北海道では「シニアインターン制度」も人気です!
私たちの働きかた、生き方は柔軟にならざるを得ません。

◆人生100年時代を生きるために必要なことは?
人生を豊かにするものには「資産」があり、「有形資産」と「無形資産」がありますが、これからは無形資産が重要です。
●無形資産の重要性
〈グラント研究(ハーバード大学の研究)〉
人生の満足や幸福はお金(有形資産)ではなく、愛・人間関係(無形資産)
●無形資産の3つの類型
①生産性資産
仕事で生産性を高めて、所得を増やすのに役立つ要素(例:上場企業に就職していることよりも個人として高いスキルをもっている、など)
②活力資産
肉体的・精神的な健康と幸福のこと(健康or病気を抱えながら)
③変身資産
大きな変化を経験し多くの変身・成長を遂げるために必要な資産のこと。つまり、変化に強いか、変化を楽しめる、変化で自分を変えていくことができること。
「今ここから、無形資産を蓄えていくと意識していきましょう!」

Theme3 「さあ、どう生きよう!」を考える
参加者みなさんが大切にしている価値観(自分の人生理念)を3つ選んでチャットに書いていただきました。では、様々な価値観がある中、「私らしく、柔軟に生きるため」にどうしたらよいかを考えてみましょう。

◆強みで生きる
自分の弱みは誰かの活躍の出番です!反対に、自分はそんな苦労しないものがほかの人には大変だったりします。お互いの強みと弱みを知って、チームで頼り合っていくのが効率的で成果も上がります。

◆フィードバッカーで生きる
フリーランスでも会社員でも、組織を超えたチームで仕事を進めていきましょう。「ギブアンドテイク」という書籍によると、人はギバー・、マッチャー・テイカーの3種類だそうです。
・ギバー…受け取る以上に与えようとする人
・マッチャー…受け取る量と与える量のバランスを取ろうとする人
・テイカー…与える以上に受け取ろうとする人
一番成功するのはギバーだといわれています。また、多くの人はマッチャーですが、一方で一番失敗するのは自己犠牲的なギバーです。
成功するギバーになるには自分を満たしながら、人にたくさん与えられるようになることです。つまり、フィードバックを与えられるようになってほしいです。
人から言われたフィードバックは貴重で、資産になります。

そこで、フィードバックのペアワークをしました。

○ペアワーク
①Aさんは、自分が大切にしている3つの価値観と、それを大切に思う理由をBさんに説明する
②Bさんは、Aさんの話を聴いて受けた印象や感じたことを、Aさんに伝える
【ペアワークについての参加者の感想】
・お互いの価値観が少しかけ離れているように感じながらも、共通しているようにも感じたり、新しい気づきもあったりした。
・初めてとは思えないように感じた。
・3つの価値観は同じようだったが、相手のほうが前向きな印象を受けた。理解をしてもらえたと感じた。

「この短時間で、理解をしてもらえた、受け入れてもらえたと感じたようですね。それは、安全・安心な関係性をつくって話せたからです。聴く人が上手ければ会話は成り立ちます」
うなずく、「そうなんだ、それでそれで」と前のめりで聴く、「そういう風に感じた」と感想を言うとよいです。

◆自分やチームメンバーを知るツール
ストレングスファインダーなどのツールをゲーム感覚で面白がって、利用してみましょう。
(参考)自分と相手の強みを知る
*ストレングスファインダー
https://heart-lab.jp/strengthsfinder/
チームでやって共有してお互いを知ると、お互いの強みを知って言語化しフィードバックをしやすくなり、いいチームになります。

◆チームができるまでのプロセス(タックマンモデル)
①形成期
チームが形成される(共通の目的も特になく、まだお互いを分からない状態。礼儀正しく友好的であることも多い)
②混乱期
ぶつかり合う(チームの目標や各自の役割について混乱や意見の対立が起こる。この対立を避けようという力も働きやすい。)
③統一期
統一の規範が形成される(目標や役割などに共通認識が生まれメンバー同士の相互理解や尊重ができる時期)
④機能期
チームとして成果が出る(チームが成熟し、リーダーの指示がなくてもメンバーが各々の役割を果たして行動できる時期)
「チームを作っていくときにぜひワークとライフを分けないでほしいと思います。最近はワークライフインテグレーションと言う人もいます。『丸ごとの自分のままで働く』、つまり、『ホールネス』=全体性を大事にしましょうという考え方がここ2、3年で企業の中でも広がっています。プライベートの経験(子育て、介護、地域活動など)を職場に持ち込まないのはもったいないことです」

◆あなたはまるごとのあなたのまま働けていますか?
・あなたが、リラックスして自分自身でいられた瞬間はいつですか?
・他の人がどう感じるか気にしなくてよかったときはどんな時ですか?
=私を大切にすること
「あなたが職場にいるとき、仕事をしている時、自分らしくいられていると思えますか?
まずは自分(内側)を満たしましょうそこからあふれたものを、内側から少しずつ外側(家族/友人→チーム→組織→社会)に向かって出していきましょう。これを『インサイドアウト』と言います。自己犠牲的なギバーにならないようにしましょう」
最後に、菅原さんからのメッセージです。
「私を大切に働く方法を見出してください。チャットに書き込んでいただいた『私を大切にして働く状態』と3つの『価値観』をお守りのように大切にしましょう。そして、それがここから仲間と一緒に働いていく、働き方を考えていくきっかけになればと思います」

参加者の皆さんの感想を紹介します(一部)
・ギバーが一番成功するという話が印象に残りました。ギバーになるにはどうすればいいか考えたいと思います。
→全ての方向にギバーになるのは難しいです。人を決めてgiverになると慣れていきます(菅原さん)
・弱みを自分が受け入れ認めて、生かしたいと思います。
・自己犠牲なGIVERでした。卒業したいです。
・これからは、より自分らしい働き方ができる時代になっていくんだなと気持ちが楽にな りました。チャットでの発言や2人組のブレーキングタイムがあることで、聴くだけではなく最後まで楽しく意識を途切れさせることなく参加できたという感覚がありました。
・「自分を大切にして働く」ってどういうこと?とここ数年考えてました。自分の希望や 時代の変化にあった働き方をする流れになったのだと痛感しました。
・OODAはなるほど!と思いました。ワークシェアで経験を増やし無形資産を増やし、蓄えていくこと、自分の内側を満たし、弱み強みを共感し頼り合えるようにする。これからの働き方、生き方など学びが多かったです