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ワークシェア本音トーク レポート

2022.02.20

2022年2月10日
「富士このみスタイル オンラインで学ぶ・つながる ワークシェア&スキルアップセミナー」第6回目を開催しました。

お試しワークシェア体験参加者の方から話を聞いて、ワークシェアへの理解を深める時間になりました。
また、スペシャルゲストとして島田市の任意団体【ひまあそび組合】マネージャーの蛭田ひとみさんをお迎えし、団体の仕組みや過去の実績、地域の女性たちと仕事をする中で出てきた課題や解決策などのお話を伺いました。

蛭田さんは、2017年より島田市のクラウドソーシング推進のため、自分の時間を使って働きたいお母さん達のサポートをしてきました。
2021年4月に新たな任意団体【ひまあそび組合】を結成。
情報発信で地域を元気にしたいお母さん達と日々お仕事をしています。

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講義前半【ワークシェアの振返り・本音トーク】

1.「ワークシェア」の振り返り
◎ワークシェア・・・スキルや特性をもった仲間と仕事をシェアして働くこと
◎ワークシェアの種類は2つ:タスク型とプロジェクト型
◎スキルシェアサービスが増加中
◎県内ワークシェア(クラウドソーシング)の事例
①島田市/アスビプランニング(2017年発足)
・働きたい人・仕事を頼みたい人の双方がメリットを得ることができる働き方を推奨
・仕事をしたい方を「ワーカー」、仕事を頼みたい方を「クライアント」と呼んでいる
②藤枝/くらシェア(2018年発足)
・ピンポイントで仕事を頼みたい企業・店舗と藤枝市民をマッチングするWEBサービス
・ディレクターが発注者にヒアリングを実施し、市民ランサー(ワーカー)が仕事を受注
・700人くらいの市民ランサーがいる

2.富士このみワークシェアについて
◆富士このみスタイル お試しワークシェア体験
本年度は、移住定住応援団にご登録いただいている企業様からお仕事を依頼いただき、11人の方がお試しワークシェアを体験中です。
①モニタリング調査~お庭プラス・吉村庭園様
②Webライティング業務~LivnigD 第一建設様
③富士このみスタイル食堂運営~静岡ガスエネリアショールーム富士様
◆お試しワークシェアをやってみて
◎体験した山口さんからのご感想
「やりとげることに達成感・成長がありました。自分の得意を見つけられる人がいるのではないかと思います。また、仕事をはじめる前のきっかけやウォーミングアップにもなると思います」
◎富士市から
「今回、移住定住応援団として富士このみスタイルの主旨に賛同していただいている企業様に仕事をお願いしました。取組後に企業様から『思ったより手間もかからず、つながりも楽しみも新たに生まれた』などの嬉しいお声をいただいています。
富士このみスタイルはつながりが生まれる事業として、企業様にメリットを感じていただきました。ディレクターの人たちは苦労した部分もあると思いますが、来年度に生かしていただければと思います。
この事業は民間のワークシェアとは異なり【富士市が市民を応援することが目的】であるとご理解いただきたいです」

【まとめ】
★ワーカーにとってのワークシェアの利点
・参加者の特性・レベルに応じて関われているので安心感や、満足感、達成感が得られる
・チーム制で対応するので、チーム内で融通しあい、時間調整もできて柔軟に働ける
・特別なスキルが無くても参加できるので初心者でもハードルが低い
★依頼主(企業)にとってのワークシェアの利点
・マンネリ化している商品・サービスに変化を取り入れることができる
・人材不足で手付かずの業務に取り掛かることができる
・女性がいない職場では、女性ならではの感性を取り入れることができる
・社内にはない新しい視点を取り入れることができる
・子育て応援、女性の活躍、SDGs達成に間接的に関わることになるので社会貢献につながる

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講義後半【島田ならではのクラウドソーシングついて】

アスビプランニングの蛭田さんから、自己紹介と島田市ならではのクラウドソーシングについてお聞きしました。

1.自己紹介
高校卒業後に様々な仕事を経験し、就職情報サイト運営会社の業務が天職だと感じていたが出産を機に退職。内職やハンドメイドアクセサリーの販売などの活動を経て、ママ達5人で有限責任事業組合を設立し、カフェの運営や新聞発行、イベントの企画などに取り組む。事業に協力するママたちが増えてきたのを機会に分社化をして、ママ達が働くことを応援するクラウドソーシング事業運営の【HR Redesign】として独立。そんな中、島田市から島田ICTコンソーシアムの話があり、島田市のクラウドソーシング推進とキャリアコンサルタント業の運営を行ってきました。
★蛭田さんからのアドバイス
セミナーなどで講演者が話す内容は、すべてが皆さんに当てはまるわけではない。「ちょっと違う」という感覚を大事にしてほしい。そういう考えもあるんだなというくらいで聞いてほしい。

2.島田ならではのクラウドソーシング
HR Redesignは、島田ICTコンソーシアムの中のクラウドソーシング部会に入っている。
クラウドソーシング推進部会は“Asubi Planning”(アスビプランニング)と言う名前で活動している。「Asubi」あすび=「明日備」とは明日を楽しく迎えるために、という意味を込め、ICTを活用して様々な課題を島田の人たちと共同して解決していこうと考えている。
登録ワーカー制度を取っていて、2020年までは行政管轄の事業だったため島田市民に限定されていたが、今は民間事業となったため、市民でなくても登録ができる。

3.仕事事例
①大井川流域の観光情報ホームページへのブログ掲載
~「子連れで行ける場所」など、女性、ママ目線でのブログで情報発信
②コロナ禍で低迷したお土産販売を促進
~ECサイトを立ち上げ、代わりに情報発信をしてあげる活動。お店と消費者を結ぶサイトを作った。お母さんたちが取材して商品紹介をしてくれた。開始1ヶ月で150万円の売上。
③シビックテックで地域の課題解決
~高校生がWEBの専門家アドバイスを受け、和菓子店などの地元商店のWEBページを作成した。地元の商店と高校生、プランナー(ママたち)が交流したことで、地元に活気を与えることができた。
※シビックテック・・・地域の住民自身がテクノロジーを活用して、地域の課題を解決すること
④地元工務店と共に子育て応援住宅を商品化
~子育て世代と座談会をして、意見を取り入れた住宅プランの商品化とブログ作成

4.ワーカーさんへの支援(蛭田さんの仕事=ディレクター)
・時間管理術、ヘルプシーキング行動、ビジネスマナーなどの研修を行う
・必要に応じて相談、面談を行う
・新規加入者に対して事業説明、働き方の面談

5.現在
ひまあそび組合を設立
~情報発信で困っている事業所と情報発信で地域を元気にしたい人を結び、誰もが笑顔で豊かに暮らせる社会を目指している。

6.蛭田さんからのメッセージ
「ママさんたちは時間やできることに制限があるし、子どもの急な体調不良もある。チームで仕事をしているので、代理を立てるなどして仕事をやりきることができる。これがチームで仕事をすること良さです」
「私がディレクターとしてワーカーさんに伝えていることは、『一番この仕事で大事なのは、挨拶と納期』ということです」
「挨拶は第一印象を決めます。納期は大事だがひとりの納期ではない。不測の事態は起きる可能性があるので、それをどうみんなで乗り越えていくか。みんなでどうやっていくかがこの仕事のよさだと感じています。自分たちで仕事を作っていき、次の仕事につなげていく。
ワークシェアの仕組みを作り上げていく段階で関わるのは大変な部分もあると思いますが、この機会を生かして助け合いの精神で取り組んでください。
まだ理解されないこともあるかもしれませんが、これからのママさんたちのためにも、富士市のためにも頑張っていってほしいです」

7.質疑応答
Q.ディレクターとして他の方の巻き込み方が難しいと感じました。他の方のやる気をアップさせるにはどうやったらいいでしょうか?
A.人のことはどうこうできないと思っています。やる気を出させるのも、自分自身の問題。心がけていることは、「相手を信じること」。相手を信じて、変な先入観を持たずに、声かけをすること。こちらが望んでいることを素直に伝える。例えば、こういう報告がほしい、この時間だと助かる、など。うまくいったときはどんどん褒めて声かけをする。これに気づいてすごい!お客さんすごい喜んでいたよ!など。
Q.仕事に前向きではない企業さんとのトラブルはどうやって乗り越えてきましたか?
A.新しい企業さんと関わるときは会う回数を増やしている。何かにつけて会うことを心がけている。最初が肝心。お願いされた場合にその目的は何かなどを確認しておく。落としどころを決めることが、コミュニケーション能力!
Q.私は10回以上引っ越してきました。新しいところに溶け込むコツは?
A.人は聞かれると嬉しい。「わからないので教えてください」みたいな感じでいくとよい。
私も点々としてきたがどこでも「仕事が好き、結果を出してやろう」という想いで行動してきた。
前向きにとらえること、人をあまり疑わないことが大事。
Q.納期がない仕事についてどう思いますか?
A.決めたほうがお互いのためになるので確認しましょう。相手のゆっくりでいいよと自分のゆっくりは違います。
Q.ひまあそび組合のメンバーはどのような属性の方が多いですか?
A.基本的に子育て中のママたちが多く、スキルを相談しながら仕事を配分しています。情報発信の会社なので、ライターさんが多い。ひまあそび組合はプロジェクト型が多い。
在宅と取材する人など、かかわる度合いによって報酬には金額に差をつけている。
Q.長くお仕事できる人のポイントは?
A.一番は素直なことだと思う。わからないことなどを素直に言えること。特に、ライティングの場合、赤入れを受け入れられるか。書いたものは自分自身の作品ではなく、仕事として納めること。アートではなくて、デザイン。クライアントの意見、読み手、すべてに響くものが大事です。

〈参加者の皆様からの感想〉(一部抜粋)
・大変充実した内容でした。蛭田さんの貴重な経験をお聞きできて、勉強になりました。
・ひとりで仕事をしているため、グループで助け合っていくのはいいなと思いました。LLPを初めて聞きました。友人と苦手なところを補っていけたらと思いました。
・LLPは個人事業主同士が一緒にやるのはいいと思う。
・助け合いができるネットワークを持っておくことが大事だと思いました。
・蛭田さんのお話しや、質問に対する答えがとても勉強になりました。富士このみスタイルは、前回よりも、より個々に対して責任のある仕事が出てきたので大変なこともありましたが、いろいろな仕事が経験できて楽しかったです。